ごあいさつ
センター長・副院長(消化器内科教授) 千葉 勉
人々の健康を守り、病気を治療する「医療」は、言うまでもなくとても大切な仕事です。わが国の「医療」の水準が世界でもトップレベルであることは、WHOの評価を見ても明らかですが、京都大学医学部附属病院では、その中でも生体肝移植に代表されるように、常にわが国における最先端の医療の開発推進に取り組んできました。しかしながらこのような最先端の医療を行うためには、一般医療の優れた基盤が必要であることは言うまでもありません。さらにこうした優れた高度医療、一般医療を行うためには、医師のみならず、優秀な看護師や放射線技師、検査技師、薬剤師などメディカル・スタッフの存在、さらにこうした異なる職種の医療スタッフの協力体制が必須となります。
京都大学医学部附属病院ではこうした観点から2005年度に、医師、看護師、その他のメディカル・スタッフの卒前卒後の教育を、一貫性を持って、統一して行うための「総合臨床教育・研修センター」を設置しました。
私たちは今、社会では以前にも増して、医療従事者の教育の重要性が強く求められていることをひしひしと感じています。その理由は様々ありますが、いくつか挙げてみますと、1)医療技術の高度化、専門化、2)それに伴ういわゆる医療事故の発生、3)患者さんの要求の多様化、4)「インフォームド・コンセント」に代表される、患者さんやご家族への告知、開示の必要性の増大、5)高齢化社会、少子化社会の進行、6)医療費用の増大と、それに対する医療費節減の動き、などなど本当にたくさんあります。これらのことに適切に対応していくためには様々な対策が必要となりますが、私たちのセンターではまず、(1)卒前と卒後の教育に一貫性を持たせること、(2)異なる職種の間で、横断的な臨床教育を行うこと、そして(3)卒後の一般的な臨床研修と、その後の専門家になるための専門研修とを有機的に結びつけること、によって上記のような様々な問題に対応できる医療スタッフを育てていきたいと考えています。
医療を行う者にとって最も大切なことは、優れた「医療技術」を持つことであることは間違いありませんが、それと同時に、いわゆる「人の痛みが分かる、優しい心」を持つこともとても大切です。このうち「医療技術」は、優れた技術の習得(手に職をつける)と知識の集積によってもたらされますが、特に前者の「手に職をつけること」と、「優しい心を持った医療従事者を育てること」は、教育者の経験に負うところが非常に大きいと言えます。京都大学医学部附属病院 総合臨床教育・研修センターでは、これらのことを念頭に置きながら、数多くの優秀で、経験の豊富な医療スタッフとともに、若くて、将来の医療に情熱をもった医療スタッフを育てていきたいと念願しております。